今日、発送するぶどうの箱を並べていて、ふと思い出したことがあります。
我が家で1.2kgのぶどう箱を使い始めた頃のことです。
それは2020年、コロナ禍で、今までのように東京へぶどうを売りに行けなくなった年でした。2019年まではシーズン中になると、週に3日ほど東京へ出て、直接ぶどうを販売していましたが、それができなくなった。
「東京へ出て、お客様と直接顔を合わせて販売することができない。でも、ぶどうはお届けしたい」
そこで、それまで続けていた自分たちのサイトでの販売を強化するとともに、新たに「食べチョク」にも参加することにしました。
そんな中で、もうひとつ考えたのが、箱の大きさでした。
その年は7月の初めに、シャインマスカットの畑全体にベト病が発生しました。何とか全滅だけは免れましたが、収穫できたぶどうの中には、傷んだ粒を抜かなければならない房がたくさんありました。そのため、その年のシャインマスカットは「贈答用」ではなく、家庭用だけで販売することにしました。
それまで、ぶどうを送るといえば2kg箱。作る側からすれば、それが普通でした。
でも、「2kgって、ちょっと多くない?」
夫婦二人だったり、一人暮らしだったり。
そんな家庭で食べるには、もう少し小さな箱があってもいい。それに2kg箱だと、宅配便は80サイズになります。だったら、60サイズで送れる箱を作ってみよう。
そうして作ったのが、1.2kgのぶどう箱でした。
ところが、我が家では、あまり評判がよろしくありませんでした(笑)。
「そんなちっくい箱は面倒だ」
両親からすれば、それまで使っていた箱とは勝手が違います。しかも当時は、我が家もシャインマスカットを作り始めてまだそれほど経っておらず、今より縦に長い房が多かった。これが、小さな箱にうまく収まらない。箱詰めを担当していた母には、特に不評でした(笑)。
それでも販売を始めてみると、自分たちのサイトでも、食べチョクでも、この1.2kg箱をお客様が選んでくれました。
少人数の家庭でも食べやすく、送料も2kg箱より抑えられる。
こちらが思っていた以上に注文をいただきました。
そして気がつけば、この「ちっくい箱」は、コロナ禍の2年間、我が家のぶどう販売をずいぶん助けてくれる存在になっていました。
あれから何年か経ちました。
今年は、9月に入ってから雨が続き、シャインマスカットにも玉割れや傷みが出ています。
また今年も、
「さて、このぶどうをどうしよう?」
と考えることになりました。
そこで生まれたのが、「ちょっと傷だらけのシャインマスカット」。
1.2kgは「ローラ」。
2kgは「天使」。
そして、家庭用のシャインマスカットも1.2kgと2kgで販売しています。

今日、発送する箱を並べてみたら、「ちょっと傷」も家庭用も含めて、注文6件のうち5件が1.2kgでした。
それを見ていて、思い出したのです。
そういえば、この箱が生まれた年も、シャインマスカットは家庭用だけだったな、と。
あの年はベト病。
今年は長雨と玉割れ。
理由は違うけれど、アクシデントが起きるたびに目の前にあるぶどうを見ながら、「じゃあ、どうやって届けようか」と考えてきたような気がします。
2kgが当たり前だと思っていたのも、作る側の都合だったのかもしれません。1.2kg箱を作ってみて、それを選んでくれたのはお客様でした。
そして今年もまた、この小さな箱にぶどうを詰めています。
今日はその中に、ローラまで混じっています(笑)。
振り返ってみれば、いろいろありました。
そして、この1.2kgの小さな箱にも、ずいぶん助けられてきました。
今年もまた。
この箱にぶどうを詰めて、勝沼から送り出します。

