摘粒真っ只中!!

ぶどう栽培もこの時期になると、房作りから摘粒へと作業が移っていきます。
摘粒とは、ぶどうの粒を間引く作業です。
「せっかく付いた実をなぜ落とすのか」
そう思われる方もいるかもしれません。
しかし、摘粒は単に粒を減らす作業ではありません。
粒と粒の間隔を整え、一粒一粒が十分に大きく育つためのスペースを確保する作業です。
また、摘粒にはもう一つ大切な意味があります。
粒を残し過ぎると、肥大した際に粒同士が強く押し合うことになります。
長雨や急激な吸水があった場合に果皮にかかる圧力が大きくなり、裂果(球割れ)の原因になることがあります。
特に近年は、猛暑と集中豪雨が繰り返されるなど天候の変化が大きくなっていますので、粒と粒の間に適度なゆとりを持たせることが大切です。
摘粒は単に見た目を整える作業ではなく、収穫まで無事に育てるためのリスク管理でもあるのです。
今年のシャインマスカットは、1回目のジベレリン処理後に軸長をおよそ9cmに調整し、最終的に40粒前後を目標に摘粒を進めています。
摘粒をしていると、つい頭の中で計算が始まります。
もし収穫時に一粒15gなら、40粒で600g。
一粒16gまで育てば、同じ40粒でも640gになります。
たった1gの違いですが、房全体では40gもの差になります。
もちろん、この時点では誰にも答えはわかりません。
これからの天候、樹の勢い、水分状態など、さまざまな条件が重なって収穫時の姿が決まります。
秋になって収穫した時、
「やっぱり16gまで伸びたな」
となるのか、
「今年は15gだったか」
となるのか。
その答え合わせを楽しみにしながら、一粒一粒を残しています。
写真はマイハートの摘粒前後の比較です。
左が摘粒前、右が摘粒後。
摘粒前の房は粒が密集し、一見すると立派に見えます。しかし、このままでは粒同士が押し合い、形の乱れや肥大不足の原因になります。
そこで将来の房の姿を想像しながら、粒を落としていきます。
摘粒後の房を見ると、少し寂しく感じるかもしれません。
ですが、ここから一粒一粒が大きくなり、粒の間に適度なゆとりを残した美しい房へと育っていきます。
新梢の芽をかき、房を適量に落とし、房の上部の粒を切り落とし、最後は摘粒。
ぶどう栽培は「どれだけ付けるか」ではなく、「何を残すか」を考える作業の連続です。
収穫はまだ先ですが、私たちの頭の中では、すでに秋のぶどうの姿を思い描きながら作業が進んでいます。
今年は一粒15gか、それとも16gか。
そんな小さなスリルを楽しみながら、今日も畑でぶどうと向き合っています。

