摘粒は、生産工程で最後の大仕事
前回のブログで少し触れた、摘粒作業におけるスタッフ増強について。実はこの摘粒作業は、美味しいぶどうを育てるうえで非常に時間と手間がかかる、そしてとても重要な作業です。今回は、「なぜ摘粒にそこまで手間をかけるのか?」という理由を、あらためてご紹介したいと思います。
摘粒(てきりゅう)とは、文字通りぶどうの房から余分な粒を取り除く作業のことです。とても地道な手作業ですが、このひと手間こそが、品質を大きく左右する大切な工程なのです。摘粒の主な目的は、次の3つです。
1. 品質の向上
房に残す粒の数を適切に調整することで、残った粒に栄養が集中します。その結果、糖度が高く、色づきも良く、一粒一粒がしっかりと育ちます。粒本来の美味しさを最大限に引き出すために欠かせない作業です。
2. 裂果の予防
ぶどうの粒は成長とともに水分を吸って膨らみます。粒同士が密集しすぎていると、膨らんだ粒が押し合い、皮が破れてしまう「裂果」が起きやすくなります。摘粒で粒の間に適度な空間をつくることで、最後まで健やかに育つ環境を整えることができます。
3. 房の形の整形
見た目の美しさも、ぶどうの魅力の一つです。摘粒では、形の悪い粒や不要な粒を取り除き、房全体のバランスを整えます。まるで芸術作品のように、整った美しい房に仕上げることで、見た目からも美味しさが伝わるぶどうになります。
これら3つの目的を達成するために、ひと房ずつハサミを入れて丁寧に粒を調整しています。
たとえば、シャインマスカットの場合、1房の目標重量を600gとし、1粒の重さを15gと仮定すると、理想の粒数はおよそ40粒になります。この40粒を房の上部から下部にかけて、どのように残していくかという判断が必要となるポイントです。
もちろん、15gはあくまで仮の目安であり、気象条件によって粒の育ち方は変わってきます。
このように、ひと房ごとに粒を抜いていく繊細な作業のため、どうしても時間がかかってしまいます。だから、先日から加わってくれた助っ人3人の存在は本当に大きく、作業のスピードが一気に上がりました。
今日の作業が終わった時点で、残りの摘粒作業はあと2〜3日で終わりそうです。ようやく先が見えてきました。
今年も皆さまに美味しいぶどうをお届けできるよう、もうひと頑張り。
収穫期を楽しみに!!

摘粒前

摘粒後